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食中毒で嘔吐と下痢…その裏で身体の免疫系は何をしていたのか

  • MIURA
  • 3 日前
  • 読了時間: 6分

皆さん、食中毒を起こしたことはありますか?

私はというと、だいたい毎年何かしらの菌に当たっているのではないかというくらい、経験しています。

大抵は二枚貝の牡蠣で起こるのですが、まぁキツイです。

食べた数時間後、「おやっ?」という小さな違和感で気づのですが、私くらいになると「あっ、今年もきたか…」と諦めの境地に入ります。そして、これから始まる怒涛のトイレラッシュに向け、しかるべき対処ができるよう戦闘態勢に入るのみです。


このような場合、薬は何の効果もありませんので、身体中の菌を上から下から排出しきる!という行いが大切になります。


今回は、カニが当たりました(わーい!)いやいや、カニで当たりました。


大晦日の夜、実家で食べるためにネット注文したずわいガニ。

食べきれずに自宅へ持ち帰り、翌日、常温で放置してしまったものをその日の夜にしゃぶしゃぶにして食べました。「熱を通すから大丈夫だろう」と思ったのですが、カニを目の前にすると早く食べたい気持ちが勝り、最初の方は半生状態で食べてしまっていたのです。その半生のカニには、おそらく腸炎ビブリオや黄色ブドウ球菌といった細菌がウヨウヨと増殖していたのでしょう。私はそれを丸ごと食べてしまったわけです。


ノロウイルスは何度も経験しているのですが、この手の食中毒は初めてだったので、かなり対処に苦戦しました。いつもなら悪心・嘔吐・下痢といった典型的な症状で済むのですが、今回はそれに加えて高熱や関節の痛みまで出てきて、まるでコロナとノロウイルスを足したような状態。約2日間、ただただもだえ苦しむしかありませんでした。

(因みに夫も同じ症状で苦しみ抜きました)



せっかくなので、ただ「苦しんで治った」という話ではなく、身体の中でどんな闘いが起き、どうやって回復していくのか。医者ではありませんが、AEAJアロマテラピーインストラクター講座の解剖生理学編で学んだ範囲の知識をもとに、復習も兼ねて簡単に説明してみたいと思います。


~苦しんでいる間、身体の奥ではどんな反応が起きていたのでしょうか~


今回のような細菌を“異物”と見なし、身体を守るために備わっている仕組みを“免疫”といいます。全身の細胞・組織・器官が連携し、非自己(ダニ、塵、花粉、細菌、ウイルスなど)を認識して排除するシステムです。

免疫には皮膚や粘膜のバリア機能、食細胞の働き、抗原抗体反応などがありますが、今回の主役は食細胞です。食細胞とは、細菌などの異物を取り込み、殺菌・浄化する細胞のこと。

白血球の中の好中球マクロファージがこれにあたります。


今回の非自己は腸炎ビブリオや黄色ブドウ球菌など。これらが口から侵入すると、まず胃酸(pH1〜2)が多くの細菌を破壊します。常温で解凍したカニを食べても、胃酸によってかなりの部分が処理されるのです。しかし、常温で置いていたため、カニには大量の菌が増えてしまっていたのでしょう。あるいは食べ物に包まれて胃酸が届きにくい部分もあったのかもしれません。全部は処理しきれなかった細菌が腸に到達すると、腸の免疫システム(腸管免疫)が本格的に動き出します。腸は身体の中で最も大きな免疫器官。ここでの防御はとても強力です。腸の粘膜には、細菌を見つけるとすぐに反応する細胞がたくさんいます。


それが好中球とマクロファージです。


好中球は最速で駆けつける即応部隊。

血液中に最も多い白血球で、侵入を感知すると数分で現場に到着し、細菌を食べて内部で分解します。とにかくスピード重視。細菌が増える前に叩く。でも、その戦い方があまりにも激しいので、闘ったあとに寿命が尽きてしまう。


マクロファージは好中球よりゆっくりですが、何度でも闘えるタフな戦士。

細菌を食べて破壊するだけでなく、食べた細菌の一部を細胞表面に掲げて「この敵に合わせた武器を作って!」とT細胞に知らせます。これが獲得免疫(抗体づくり)のスタートです。T細胞は免疫の司令塔のような存在で、マクロファージから「この敵が来たよ」と情報を受け取り、状況に応じて体の防御を最適化します。特に活躍するのは次の3つ。


① ヘルパーT細胞(頭脳派の司令官)

 細菌の情報を受け取り、「抗体を作って」「攻撃を強めて」と指示を出す。


② キラーT細胞(マッチョな突撃兵、殺し屋)

 ウイルス感染細胞や異常細胞をピンポイントで破壊する。


③ 制御性T細胞(静かに全体を整える賢い調停者)

 戦いが終わったら炎症を抑え、体を元の状態へ戻すブレーキ役。


まず、ヘルパーT細胞が免疫全体に指令を出し、好中球やマクロファージの働きを強め、必

要に応じて抗体の産生を促します。この指令を受けて動き出すのがB細胞です。B細胞は細菌にくっついて、動きを封じたり、ほかの免疫細胞が排除しやすいように“目印”をつけたりします。そして、細菌との闘いに負けてしまうと、今度はキラーT細胞が登場し、ピンポイントで攻撃していきます。


最後に、闘いが落ち着いてくると制御性T細胞が働き、過剰な炎症を静かに鎮め、身体を元の状態へ戻していきます。


私がオエオエと苦しんでいるあいだ、身体の奥では、こんなにも多くの戦士たちが黙々と働いているのです。なんかもう「あなたたち、私のためにこんなに頑張ってくれたのね」と、身体を抱きしめたくなります。

何の見返りもなく、ただただ私を守るために、好中球も、マクロファージもT細胞も、B細胞も、その他多くの器官がそれぞれの役割を果たしながら、静かに、確かに、力を合わせて闘ってくれていた。そう思うと、胸の奥がじんわり温かくなります。



急に変な話になりますが、私たちは外に愛を求めて悩み、苦しむことがあります。

でも、本当は私たちの中に、最初から愛が備わっているのだと思うのです。

「身体の仕組みなんだから当然でしょ」と言ってしまえばそれまでですが、病気やハンデのある方は、この仕組みを渇望してやまない状態にあります。


「ただほど高いものはない」という言葉がありますよね。

普通は“無料のものには裏がある”という意味で使われますが、身体のことを思うと、まったく別の深さを持っているのではないかと思うのです。


本当は、身体の機能こそ “ただほど高いものはない” の象徴なのではないか。

お金では買えないし、誰かに譲ってもらえるものでもない。移植のように交換できる話ではなく、“機能そのもの”が唯一無二なのです。

そう思うと、身体に「ありがとう」と言いたくなるし、もっと大切にしたい気持ちが自然と湧いてきます。



というわけで、今年は暴飲暴食を控えめにし、身体にとってよい行い、よい行動をしていきたいと思います。


本年もどうぞよろしくお願いいたします。

皆様の健康と穏やかな日々を、心よりお祈り申し上げます。

 
 
 

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