グレープフルーツの香りが、私の道を照らした
- 2025年11月4日
- 読了時間: 5分
皆さんは、アロマトリートメントを体験されたことはありますか?
整体やもみほぐしには気軽に行けるけれど、オイルを使ったトリートメントとなると、少しハードルが高く感じる方もいるかもしれません。
何しろ、服を脱いで紙ショーツ一枚になりますからね。
しかも、臀部までしっかりトリートメントしてくれるサロンでは、Tバックタイプの紙ショーツが登場することも。
普段履き慣れていない私は、なんだか心もとなくて、そわそわ…。
お手入れがちょっと甘い日なんかは、小さな三角の面に毛の流れをなびかせるように、なんとか収めてみたりして(笑)
そんな私の癒しの原点は、足つぼでした。 昔から足裏が重だるくて、日帰り温泉施設のサロンでよく受けていました。
特に中国式のグイグイ系が好きで、「痛いけど効く!」を信じて通っていたものです。
30分コースを選ぶことが多かったのですが、片足15分だとちょっと物足りない。
でも当時は20代。欲しいものが山ほどあって、癒しに全力投資する余裕はなく、細々と通っていました。
年齢を重ねるにつれて、肩と腰が「ちょっと待って」と悲鳴を上げ始めました。
平日は会社員として働いているのですが、デスクワーク中心の生活で、肩と腰はガチガチ。
コリ解消のため、もみほぐし屋さんや整体院を見つけては、ちょくちょく通うようになりました。
もみほぐしは気軽でいいのですが、整体に行くと高確率で言われます。
「骨盤、ズレてますね」
そりゃ、足を組んだり、デスクに肘をついてPC作業していたら、ズレるよな…と思いながら聞いています。
すると、「今、矯正できたとしてもすぐ戻ってしまうので、週1で通うといいですよ」とか「回数券がお得です」と、 お馴染みの勧誘が始まります。
私はその瞬間、心の中で「来た…!」と警戒モードに早変わり。
そこからは営業トークに適当な相槌を打ち、なんとかやり過ごす時間。
(質問したいことがあっても、回答が長くなりそうなのでやめておくことが多いです)
居心地の悪い空気になり、「またこちらから連絡させていただきます〜」と愛想笑いを浮かべながら、 全力で次回予約を回避し、そそくさと退散するのが常でした。
その点、日帰り温泉施設や街のもみほぐしサロンは最高です。
都度払い、勧誘なし、気が向いた時にふらっと行ける。 “癒しの自販機”みたいな存在ですね。
そんなある日、友人から「背中のアロマトリートメントがすごく気持ちいいよ」と聞いたのです。
指圧以外の癒し? オイルを体に塗りたくって、何が気持ちいいんだろう…と、正直半信半疑でした。
でも、なんだか気になってしまって。 その言葉がずっと頭の片隅に残っていて、ある日ふらっと、とあるサロンに足を運んでみたのです。
好きな香りが選べるシステムになっていて、その時まだ“精油”というものが何なのか、よくわかっていませんでした。
「香りを選ぶ」と言われても、どれも初めての名前ばかりで、嗅いでみてもピンとこない。
でも、セラピストさんが「今の気持ちに合う香りを一緒に探しましょう」と言ってくれて、少しずつ香りを試していくうちに、 ふわっと心がほどけるような香りに出会ったのです。
それが、グレープフルーツでした。 嗅いだ瞬間、思わず「え、これグレープフルーツの香りそのままじゃん!」って声が出てしまって。 果物の皮をむいたときの、あの爽やかでジューシーな香りがそのまま瓶に詰まっているようで、びっくりしました。
そしてもうひとつ驚いたのが、香りの“濃さ”。 え、こんなに小さな瓶の中に入っている液体の、たった一滴でこんなに強烈に香るの?って、不思議にもなりました。 香りって、こんなに力があるんだ…と、初めて実感した瞬間でした。
その香りをまとって、施術が始まりました。 最初は足の後面から。手のひら全体が私の肌に密着して、グワーっと包み込まれるような感覚。 疲れた筋肉が「やっとほぐれる…」と、ほっと息をついたようでした。
オイルが肌にすっとなじんで、手のひらが滑らかに動くたびに、圧が深く届くのに、どこかやさしい。 コリや張りのある部分がするすると楽になって、いつのまにか呼吸まで深くなっていく。
「あれ、私こんなに呼吸浅かったんだ」と気づくくらい、自然と深呼吸ができるようになって。 すると、まとっていた香りがふわっと広がって、より鮮明に感じられるようになったのです。
香りが鼻から入って、胸の奥まで届いていくような感覚。 それは単なる“いい匂い”ではなくて、心に染み渡るような、静かな癒しでした。
気持ち良さにつつまれて、セラピストさんの手の施しを全体で味わいながら過ごしたいのに、強烈な眠気に勝てない。 気がついたら、施術が終わっていました。
「終わりましたよ」とやさしく声をかけられて、ぼんやりと目を開ける。 けれど、まだ帰りたくない。体はふわっと軽くなっているのに、心はまだそのやさしい手のぬくもりの中にいたくて。 このまま、もう少しだけ香りに包まれていたい。 そんな気持ちで、ベッドの上にしばらく静かに横たわっていました。
あの時は、セラピストになりたいなんて、思ってもみませんでした。 ただ、気持ちよかった。癒された。また受けたい。 それだけだったのです。
それが、うん十年経って(笑)、まさか自分が“施す側”になるなんて。 人生って、ほんとうに面白いものですね。
あの時の記憶が、私の中で静かに息づいていたからこそ、 今こうして、“香りとぬくもりを施す側”に立っているのかもしれません。
香りと手のぬくもりが教えてくれた、やさしくて、静かな世界。 その世界の続きを、これからも丁寧に、心を込めて紡いでいきたいと思っています。
追伸
Lumyrraでは、勧誘や回数券のご案内は行っておりません。
ご自身のペースで、心と身体が求めるタイミングにお越しいただけたら嬉しいです。


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